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『ムサッシーのブログ』を記載します。


by sportsaid

「私たちができること、私たちでなければできないこと」

 市民の憩いの場「日和山公園」の眼下に広がるあまりにも悲惨な光景に、私もまた息を飲みました。今まで味わったことがない異様な感情に押しつぶされそうになりました。

 4月20日、東日本大震災の被災地・宮城県石巻市に行ってまいりました。
 ここに、スポーツエイド・ジャパンと同じNPO法人として活動している「輝くなかまチャレンジド」が障害者の自立を支援するために開設した作業所「障害者地域活動センターこころ・さをり」がありました。が、先の自然の猛威の前に今はその機能を失っています。私は、このNPO法人の実情をたまたま知るに至り、そこの施設長の内海幸子理事を尋ねることにしたのです。

 私たちは、仙台市の市民ランナー平間光江さんからいただいた「たいへんだけど頑張ってと言うことが精一杯で、何もしてあげられないと嘆いている人が多いけど、それでは駄目だよ。元気出してよ。被災地じゃない人が元気なくしてたら、こっちまで元気なくしちゃうよ。走れるなら走って欲しい。その元気を届けてくれるだけで元気になれる」というメールに、こんなときだからこそ何としてでも今まで通りの「戸田・彩湖フルマラソン&ウルトラマラソン」を開催しなければならないと強く思いました。結果、本当にランナーもボランティアスタッフも応援に駆けつけてくれた方たちも心をひとつにして「元気」を発信できたと思っております。
 私たちは今、「私たちができること、私たちでなければできないこと」を実践していきたいと思っております。スポーツエイド・ジャパンは、開催を予定しているすべての大会を実施し、チャリティー販売の売上金のほかに、その大会で得られた収入(皆さんからいただいた参加料)のなかからも被災された方たち(特に障害をもった方たちや両親を亡くした児童)への支援資金として、とりあえず2年間、毎月支出していきたいと考えております。「障害者地域活動センターこころ・さをり」は、私たちがこの度支援することになった施設のひとつであります。
 なお、私たちは当初から「日本赤十字社」等の機関を通しての寄付だと、①被災者に渡るまでの時間がかかり過ぎる、②果たして、障害者など弱い立場にいる人たちにまで行き渡るのか、といった疑問があったので、私たちで私たちの支援を必要としている施設(あるいは人)を調査し、直接その施設(あるいは人)に資金を渡すことに決めていました。

 施設長の内海さんは、作業所の最上階に施設の障害者たちを避難させたあと、津波にさらわれていく人や車を目の当たりにしたとのです。そのショックや障害者たちの命をあずかることの重さに耐えていく自信も揺らいでいるため、もうこの活動をやめようとも思っていたそうですが、私たちに会って「希望がわいてきた」と言っていただきました。私たちもこの言葉に「共に頑張らねば」という意識を持つことができました。私たちも頑張って大会を開催し続け、この作業所再開の一端を担いたいと思っています。

 私たちが次にお会いしたのは、避難所となっている石巻市立湊小学校に設けられた「災害対策本部」で陣頭指揮をとっておられる庄司市議会議員(内海さんの義弟)、湊小学校と第二小学校の校長先生でした。両校長先生から両親(もしくは父親)を失った児童の実態が分かり次第、連絡をしていただくことになっています。私たちはこのような児童たちへの支援も行っていく所存です。

 湊小学校を出たあと、内海さんは石巻市の惨状を「しっかり見てください」と、案内してくださったのが文頭の「日和山公園」であり、海辺に近い最も被害が甚大であった地域でした。瓦礫の山と化した地域はまだ泥がはびこり、異臭が漂っています。「日和山公園」から見下ろす石巻湾岸の絶景は、今や見る影もありません。

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高台にある「日和山公園」から石巻湾と瓦礫と化した市街地を望む。









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施設長の内海さん(中央)、福満監事(左)と。さっきまでは時折り笑顔もみせてくれていた内海さんでしたが、現実を直視するとやはり表情に辛さが滲みます。






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最も被害が大きかった海辺に近い地域。ついこの間まで人の日常があったとは思えない光景です。









 自然の計り知れぬ大きな力に根こそぎ砕かれた街並み。でも、いつの日か必ず元の姿に甦えります。その日が1日も早く来るために、「私たちができること、私たちでなければできないこと」をさせていただこうと思っています。皆さんのご協力(私たちの大会で元気に走っていただくこと)を切にお願いする次第です。

                    NPO法人スポーツエイド・ジャパン代表理事 舘山 誠
by sportsaid | 2011-04-23 03:18